いつもは妻が娘を幼稚園に送っていくのだけど、パパと一緒に行きたいと言いだしたので送っていくことにした。

車の中ではいつもの様にふざけながら、なんだかんだとおしゃべりしながら、幼稚園に着いた。
幼稚園の園庭で両手を持ってグルグルーっと回してあげたら、ケタケタと楽しそうに笑って、笑いながら幼稚園の教室に吸い込まれて行った。

冷たい空気の中、それでも、
陽射が強くなってきて、車の中がぽかぽかしている。
あたたかい車の中、一人ぼんやり思い出す。

幼稚園や小学校の朝、父の車で送ってもらったあの日のことを。
いつもとは違う雰囲気の朝を今でも覚えている。

「お前は、こうして車に乗っていくことで、時間を追い越しているんだ」
と父は言っていた。
分かったような分からないような顔しながら僕は照れくさそうに学校へと吸い込まれて行った。

そういえば、今日の娘もなんだか照れくさそうだったな。